救われ王子にロックオン~溺愛(お礼)はご遠慮させて頂きます~
「それは私が若旦那に頼んで至急仕上げてもらうように頼んだものですよ」
四阿の影から現れた男性二人に涼香の顔が強張る。
「き、聖川専務・・・どこから聞いて」
「ほぼ最初からですかね?あ、貴女の健康相談が始まってからは席を外していましたのでご心配なく」
「・・・!」
立場がないといった風の涼香にあやめが立ちあがりポンと肩を叩く。
「こんな公の場で聞かれたくない話をするからこうなるのですよ。今後は気を付けましょうね」
「人の口に戸は立てられない。しかし、そのお陰で、僕を庇ってくれるカッコいいあやめさんが見られたのですから僕は貴女に感謝をせねばなりませんね」
光治の言葉に涼香は申し訳ないと謝罪はしたが、同時に別のことで焦っていた。
「本当に申し訳ありませんでした。今回のことは私が勝手に起こした不祥事です。若旦那とは一切関係ありません。私が責任をとって橘呉服店を辞めます。だからどうか、今後の橘呉服店との取引をやめたりしないで下さい!」
強気だったわりに涼香の様子は必死だった。
よほど若旦那のことが好きなのだろう。
勘違いとはいえ、二股をかけている゛高級ラウンジホステスあやめ゛に一泡吹かせたいと涼香は思った。
聖川専務を貶めることで、あやめに若旦那の魅力を再認識させようとしたその努力は、捉えようによっては一途さからくる歪んだ愛情ともいえるだろう。
「あなたが若旦那を大切に思うように私もあやめさんを大切に思っている。その事をわかって欲しいだけで、別に貴女に職場を辞めて欲しいとか、橘呉服店との取引をやめようなどとは思っていません」
光治の大人な対応に立場がなくなり、涼香は俯いたまま黙りこんでしまった。
「もうその辺で、うちの大切な社員を弄るのはやめて頂けないだろうか?その浴衣を短期間で仕上げた僕に免じて」
やはり、どんなヒーローもヒロインのピンチの時には颯爽と現れるのが鉄板なのだろう。
「隆之介(りゅうのすけ)」
「隆之介様」
親しげな光治の呼び掛けと男性を見て目をハートにする涼香を見ればあやめの想像に容易い。
この男こそが橘呉服店の若旦那゛橘隆之介゛なのだと。
四阿の影から現れた男性二人に涼香の顔が強張る。
「き、聖川専務・・・どこから聞いて」
「ほぼ最初からですかね?あ、貴女の健康相談が始まってからは席を外していましたのでご心配なく」
「・・・!」
立場がないといった風の涼香にあやめが立ちあがりポンと肩を叩く。
「こんな公の場で聞かれたくない話をするからこうなるのですよ。今後は気を付けましょうね」
「人の口に戸は立てられない。しかし、そのお陰で、僕を庇ってくれるカッコいいあやめさんが見られたのですから僕は貴女に感謝をせねばなりませんね」
光治の言葉に涼香は申し訳ないと謝罪はしたが、同時に別のことで焦っていた。
「本当に申し訳ありませんでした。今回のことは私が勝手に起こした不祥事です。若旦那とは一切関係ありません。私が責任をとって橘呉服店を辞めます。だからどうか、今後の橘呉服店との取引をやめたりしないで下さい!」
強気だったわりに涼香の様子は必死だった。
よほど若旦那のことが好きなのだろう。
勘違いとはいえ、二股をかけている゛高級ラウンジホステスあやめ゛に一泡吹かせたいと涼香は思った。
聖川専務を貶めることで、あやめに若旦那の魅力を再認識させようとしたその努力は、捉えようによっては一途さからくる歪んだ愛情ともいえるだろう。
「あなたが若旦那を大切に思うように私もあやめさんを大切に思っている。その事をわかって欲しいだけで、別に貴女に職場を辞めて欲しいとか、橘呉服店との取引をやめようなどとは思っていません」
光治の大人な対応に立場がなくなり、涼香は俯いたまま黙りこんでしまった。
「もうその辺で、うちの大切な社員を弄るのはやめて頂けないだろうか?その浴衣を短期間で仕上げた僕に免じて」
やはり、どんなヒーローもヒロインのピンチの時には颯爽と現れるのが鉄板なのだろう。
「隆之介(りゅうのすけ)」
「隆之介様」
親しげな光治の呼び掛けと男性を見て目をハートにする涼香を見ればあやめの想像に容易い。
この男こそが橘呉服店の若旦那゛橘隆之介゛なのだと。