救われ王子にロックオン~溺愛(お礼)はご遠慮させて頂きます~
それから数日が過ぎた。

守秘義務が厳重に課せられている職業のあやめは、基本的に自宅で仕事の話をすることはない。

勤務明けに何回かランニングにも出掛けた。

しかしあやめは月に何回かは夜勤があり夕方から翌朝まで病院に泊まり込むことがあるため、日勤ばかりの光治とはすれ違いも多い。

今週もそんな感じで、まともに話ができずにいた。

そんな中、気がかりなのは、あやめのスマホにかかってくる怪しい電話だ。

会話が始まるとあやめは゛ごめんね゛と手を挙げて部屋を出ていく。

゛あの男からの電話なのではないか?゛

女性からの電話では決して離席しないあやめに光治は疑心暗鬼になってしまう。

それでも聞き出すことができないのは、あやめに好かれているという自信がないから。

光治は俯いて、溶けた氷で薄くなったウイスキーを一人あおっていた。
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