救われ王子にロックオン~溺愛(お礼)はご遠慮させて頂きます~
不安な時間もようやく過ぎ去ろうとしている。
時計をみれば11時半。
そろそろあやめも友人とやらと別れる頃だろうか。
光治がそんなことを考えていた矢先、自宅の玄関のドアが開き、光治の執事として公私ともに支えてくれている田中が入ってきた。
「連絡もせずにどうした?田中」
「光治様、急用ができました。田中とおいでください」
「いや、今日は久しぶりの休日だ。午後はあやめと約束がある。仕事なら父さんに振ってくれ」
かつては仕事中毒と言われた光治の言葉に、一瞬、田中の表情が和らいだ気がしたが、真面目な田中はそれでも譲ろうとはしなかった。
「いえ、光治様に来ていただかなくては話が始まりません。絶対に同伴していただきます」
「わ、わかったよ。田中。せめてあやめに連絡を・・・」
「時間がございません」
いつも強引な田中ではあったがここまで頑なことはなかった。
よほどの事態に違いない、そう同情しそうになった光治だったが、スマホを手に取ることもできずに引きずられるようにレジデンスを出ることになってしまい、恨みのこもった目で始終、田中を見つめることになった。
時計をみれば11時半。
そろそろあやめも友人とやらと別れる頃だろうか。
光治がそんなことを考えていた矢先、自宅の玄関のドアが開き、光治の執事として公私ともに支えてくれている田中が入ってきた。
「連絡もせずにどうした?田中」
「光治様、急用ができました。田中とおいでください」
「いや、今日は久しぶりの休日だ。午後はあやめと約束がある。仕事なら父さんに振ってくれ」
かつては仕事中毒と言われた光治の言葉に、一瞬、田中の表情が和らいだ気がしたが、真面目な田中はそれでも譲ろうとはしなかった。
「いえ、光治様に来ていただかなくては話が始まりません。絶対に同伴していただきます」
「わ、わかったよ。田中。せめてあやめに連絡を・・・」
「時間がございません」
いつも強引な田中ではあったがここまで頑なことはなかった。
よほどの事態に違いない、そう同情しそうになった光治だったが、スマホを手に取ることもできずに引きずられるようにレジデンスを出ることになってしまい、恨みのこもった目で始終、田中を見つめることになった。