一日限定カップル
5.カップル解消
「じゃあ、また」

地元近くまで帰って来て。

この駅で尚志は電車を乗り換える。

「あのさ!」

降りる寸前に尚志はこう言った。

「俺、来週にバイト、辞めるんだ。
…調べたらもう同じシフトに入ってなくて」

「えっ…?」

私は。

息が止まりそうになった。

「今日は本当にありがと。
楽しかったよ」

無理矢理、口元を上げて

「本当に、もっと早く、出会いたかった…」



電車のドアが開いて。

尚志はそのまま降りていった。

人混みに紛れる寸前。

一瞬、こちらを振り返って手を振った。

私も反射的に振ったけど。



気がつけば。

涙がポロポロこぼれていた。
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