今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

「先生、さようならー!」と他の生徒たちが次々と帰っていき、教室には俺とあからさまに落ち込む呉羽だけになった。



満点を取れなかった悔しさで、肩を落としながら呉羽は帰ってきたテストをかばんに入れ、教室を出ようとした……。



「呉羽つむぎ。ちょっとこっち来い」



俺は聞きたいことがあって、呉羽を呼び止めた。




ゆっくりと振り向く呉羽。



「あのさ、一個確認したいんだけど……」



昨日のお願いって、どういう意味……?

俺はそう聞こうとしていた。



さすがに生徒からのお願いを完全に無視することもできず、せめてどういう意味だったのかだけでも知れたらなと思ってのことだった。



しかし、俺が言いかけたところで、呉羽は俺に近づいてきて……突然、俺の両腕を掴んだ。


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