今日も、私は瀬那先生を誘惑します。


自分の気持ち?素直?



俺の頭の中はクエスチョンマークだらけになった。



「瀬那先生、俺のこと好きになれば?って言ったよね」

「……そんなこと、言ったかな?」

「言いました」



はい、覚えてます。

確実にあのとき純粋な呉羽がかわいくて調子に乗ってしまい口が滑りました。



「私、先生のこと誘惑します」



ん?

誘惑……⁉︎

誘惑って言ったか⁉︎



女子高生の口からそんな言葉出てくることってこの世の中でありえんの?



基本なにごとにも動じない俺が、まともに恋もしたことのない呉羽に動揺しまくってる。



「……じゃあ、覚悟しといてね」



呉羽は頬をりんごのように赤く染めながらそう言った。



……なんだこのかわいすぎる生き物は。



この瞬間、さっきまでの俺の決意は崩れかけた。



「瀬那先生、じゃあまた明日ね」



散々俺の心をかき乱しておいて、呉羽は恥ずかしそうにしながら教室を小走りで出て行った。

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