今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
隣のクラスの前には、1人の男の人を大勢の女の子たちが囲んでいた。
「あれって、私たちと一緒に迷子になってた先生じゃない?」
蛍のその言葉に、よーく男の人の顔を見た。
蛍の言う通り、女の子たちに囲まれているのは私たちと同じく迷子になったイケメン先生。
「瀬那先生って言うんだね」
蛍は廊下を見つめながらそうつぶやく。
……瀬那先生。
女の子たちに囲まれた瀬那先生は、満更でもなさそうな顔をしている。
そりゃあ、女子高生たちにキャーキャー言われて嬉しくない人間がいるはずがない。
どんなにモテるイケメンだって、嬉しいんだな……。
「あんなにニヤニヤして、先生として恥ずかしくないのかな?」
今日初めて会ってどういう人かなんて知らないのに、女の子たちにニヤニヤしてる先生を見て、なぜかイライラする。