今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
あんなに重そうな本やら書類やらが背中に落ちてきたから、本当に瀬那先生にケガがないか心配だった。
でも、瀬那先生の言うとおり……瀬那先生の背中を見られるのも嬉しかったり。
そんな下心を必死に抑え、背中を向けた瀬那先生のTシャツをまくり上げた。
たくましい背中に……2箇所ほど、切り傷を見つけた。
「どう?」
「2箇所、切り傷があります」
「それなら勝手に治るだろ。見てくれてサンキュ」
「本当ですか?保健室に行って手当てしてもらった方が……」
「大丈夫だよ」
「……先生、本当にごめんなさい」
Tシャツを元に戻し、再びこちらを向いた瀬那先生に私は頭を下げた。
「だから、呉羽が謝ることじゃない」
「でも、傷をつけちゃったから……」
「先生は生徒を守るのも仕事なんだよ。だから気にするな。わかった?」
「……はい」