今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

「……で、なにを企んでんの?」

「え……っ⁉︎」



駅近のお店に向かっている途中、隣を歩く門奈くんがそう口を開いた。



「呉羽が俺だけを誘うことなんて今までなかったじゃん。もしかして、松本が伊吹に告白するとか……?」



門奈くんには、さっそくバレてしまった。



とりあえず、このまま少し一緒に時間を潰してほしいことを伝えた。



門奈くんは協力してくれたうえに、さらに本当に私の弟のプレゼントを考えてくれた。



ーーー……そして、30分が経ったころ、蛍から電話がきた。



『つむぎ、とりあえず戻ってこれる……?』



蛍にそう言われ、私は「今、行くね」とだけ言った。



すぐに会計を済まし、門奈くんと蛍たちのいる公園へと向かった。



公園に入ってすぐ、蛍が私たちの存在に気がつく。

蛍は一目散に私に向かって走ってきて……そのまま、抱きついた。



「……つむぎ……振られちゃった……っ」



蛍はそう言って、私を抱きしめる力を強くした。
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