今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

なんで……?



ゆっくりと目を開けると、目の前に瀬那先生の顔があり……思わず息を止めた。



「呉羽、これは現実だよ」



瀬那先生はそう言うと、そのまま静かに私の唇にキスをした。



瀬那先生の唇が少しだけ触れ、すぐに離れた。



……なのに、瀬那先生の柔らかい唇の感覚がまだ残っている。



「夢じゃないってわかった?」

「……はい」



突然のキスに、うまく頭がまわらない。



瀬那先生がいつもより何倍もかっこよく見えるのは気のせいなのかな……。

それとも、キスのせい?



ファーストキスって、こんなに温かい気持ちになれるんだと……このとき、私はまたひとつ学んだ。



……そういえば、唇は離れたのに、私の頬を瀬那先生は触れたまま。


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