今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

「あの、瀬那先生?この手は……」

「あぁ。もう一回しようかなって」

「もう一回ってなにを……?」



私が本気でわからなくて聞くと、瀬那先生は「さすが呉羽だね」と笑った。



「そういう天然なところもかわいいと思うよ」

「……へっ?」

「キス、しようかなって思ってたんだけど」



瀬那先生の口からは私をドキドキさせる言葉しか出てこない。

私のことをどれだけ翻弄させるつもりなんだろう……。



「すぐにはまだ……恥ずかしいです」



ついさっきファーストキスをしたばかりなんだもん。

願わくば、もう少し余韻が欲しいです……。



「じゃあ、あとでならいいんだ」

「えっ⁉︎」

「そういうことだろ?」

「……じゃあ、あとでお願いします……」



私が軽く頭を下げると……瀬那先生は私の頭を優しく撫でた。


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