今日も、私は瀬那先生を誘惑します。


顔を上げた私を、目尻を下げて見つめてくる瀬那先生。



「呉羽の……真面目で一生懸命なところが好きだよ」

「……」

「なんでも全力で取り組んで頑張ってる呉羽を、気がつくと目で追ってた」

「……」

「松本が振られたときも、全力でなぐさめようとして悩んでたよな。そのとき、こんなに人のために尽くせる子なんだなって思った」

「……」

「そんな呉羽に、俺はいつも元気をもらってるんだよ」

「……私に、ですか?」



まさか、瀬那先生にそんな風に見られていたとは思わなかった。



確かになにかをするときは中途半端は嫌だから、100%の力を出すようにしている。



でも、実際は周りが見えなくなって空回りしてしまうことがほとんどで……迷惑をかけてしまうことも多々。



瀬那先生が元気をもらってるって言ってくれて、この場で飛び上がりたいほど嬉しい。



それに、私の中身の部分をちゃんと見てくれているのがなによりニヤけてしまう。


< 207 / 397 >

この作品をシェア

pagetop