今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

門奈くんは空気を読んでか、伊吹くんのところへ行ってくれた。



蛍の抱きしめる力が痛いくらい強い。


……でも、今の蛍の心の方が何倍も痛いはず。



そう思ったら、蛍の気持ちが落ちつくまでこうしてていいよと……本気で思えた。



蛍が伊吹くんのことをどれだけ好きなのかは、いつもそばにいた私が１番よくわかっているつもりだ。



だからこそ、その想いが届かなかったという現実をすぐに受け入れることができないのかもしれない……。



「蛍、ここでちょっと待ってて」

「うん……」



伊吹くんといるときは泣かないようにしていたのか、我慢した結果、止まりそうにない涙が目から溢れる蛍は鼻声になっていた。