今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
「2人ともごめんね。今日はここで解散でもいい?」
私は、蛍がこの状態ではまともに話すことはできないなと判断し、門奈くんと伊吹くんにそう聞いた。
気まずそうな伊吹くんと、申し訳なさそうな門奈くん。
「むしろ、ごめん」
伊吹くんとは、一対一で話したことなんて多分今まで一度もない。
そんな伊吹くんは私に向かって頭を下げた。
公園を後にした伊吹くんと門奈くんの背中を見送り、私は蛍の元へと駆け寄った。
ベンチに座る蛍が、いつもよりも小さく見える。
「……つむぎ、ありがとう」
蛍は気配で気づいたのか、私が近くに来ると顔をあげた。
傷ついてるはずなのに……辛く悲しいはずなのに、蛍は私に気を使って声をかけてくれた。