今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

私は蛍の隣に座り、蛍の背中をそっと撫でた。



「……私、本当に本当に伊吹くんのこと好きだったんだぁ……」

「……」

「振られるって……こんなに辛いんだね」



鼻声になるほどの涙を流す蛍。

タオルで目を押さえている姿を見て、私も辛くなる。



……そのあとも、蛍は身体中の水分がなくなるんじゃないかというほど泣いていた。



日が暮れ始め……公園にいた子どもたちも帰っていった。



「……そろそろ、帰ろっか」



蛍も少し落ちついたので、私たちは帰ることにした。



蛍はどんなときも、まず私に相談をしてくれた。



だから、蛍が今までで1番落ち込んでいるのがわかる……。



1人でちゃんと家まで帰れたかな。

ご飯食べられたかな。



自分の家までの道中、蛍のことが心配で心配で仕方なかった。



そんな私の心配が蛍へと伝わったのか……家に着いたタイミングで、蛍から【今、帰ってきたよ。今日はありがとう】と、メッセージが届いていた。



私は、ホッとした。

そして、早くいつもの明るい蛍に戻りますように……と祈った。

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