今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
……今日も私の彼氏は最高にかっこいい。
これが見られただけで、よしとしよう。
瀬那先生は、私が助手席に乗ってからというものの、こっちに身を乗り出して私のことを凝視してくる。
「なにか、変ですか……?」
お母さんの仕事がたまたま休みだったので、お母さんに着付けと髪の毛もお願いしたんだけど……。
久しぶりに浴衣を着させてもらったから、なにか変だったかな?
「なんでこんなにかわいいかなぁ」
ひとりごとのようにつぶやく瀬那先生。
「今すぐキスしたいくらいかわいい」
「……ありがとうございます。じゃあ、します?」
「いいの?」
「だめです!家の近くだし、コンビニの駐車場ですよ。キスは2人きりのときにしてください」
「……2人きりのときは、いいんだ?」
今回こそは勝ったと思われたが、あっさりと瀬那先生に持っていかれてしまった。
……この先、瀬那先生に敵うことはあるのか?
走り出す車のエンジン音を聞きながら……私はそんなことを思った。