今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
「まだまだ私、子どもなんです。わがままなんです」
「俺も一緒だよ」
「え?」
「今日のデート、すごく楽しみにしてた。つむぎの浴衣姿とか、手つないで歩けることとか。つむぎと同じようにドキドキしてたよ」
「……っ」
「ごめんな。俺が同級生たちと盛り上がっちゃったのがきっかけだよな」
つむぎの頭を撫でたい衝動に駆られ、優しく触れる。
つむぎは「……いえ」と、少し泣きそうになっていた。
「麗華とは同級生何人かでの飲み会で会うくらいだよ。あいつがいるとめんどくさいし、もう2年くらい会ってなかった」
「……」
「麗華に告白されたことはないけど、中学のときからあぁやって俺にまとわりついて彼女づらしてた」
「……そうなんですね」
「連絡ももちろん一切とらないし、異性がいる飲み会にはもう参加しないよ」
「いや、あの、そこまでしなくても……っ」
「俺がしたいんだよ。つむぎを不安にさせたくない」
つむぎの柔らかい頬に触れる。
そこへちょうど、一粒の涙が落ちてきた。