今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

「つむぎさんの通う高校で働いています。今年の3月に大学を卒業して、4月から高校教師になりました」

「……そう、なのね」

「どんなことも全力で頑張るつむぎさんの姿を見ていて……次第につむぎさんに惹かれている自分に気づきました。生徒と教師という関係で、あってはならない感情だとわかっていたので、何度も諦めようとしました」

「……」

「それでも……つむぎさんのことを忘れることができませんでした」

「……」

「僕とつむぎさんのお付き合いを許していただけたら、うれしいです」



瀬那先生は深く頭を下げた。

……まるで、結婚の許しをもらいにきたみたい。



先生と生徒の恋愛は、私が思うよりももっと問題がたくさんあることなんだと、このとき改めて感じた。



「……もし、私が付き合うことに反対だと言ったらどうするの?」



お母さんの問いに対して、瀬那先生は「認めてもらうまで、何度でも説得しにきます」と力強く答えた。

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