今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
「つむぎのことを、よろしくお願いします」
お母さんがそう言って頭を下げた。
このとき、その姿を……私は一生忘れないと思った。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
瀬那先生も頭を下げたので、私も同じようにお母さんに向かって頭を下げた。
「まさか、初めての彼氏で先生を連れてくるなんて……さすがの私も驚いたよ」
「私も、まさか先生を好きになるなんて思ってなかったよ。いつの間にか瀬那先生のことばかり目で追いかけてて……」
「……まぁ、好きになるのに年齢が関係ないように、職業だって関係ないもんね。とにかく、私はあなたたちを応援するわ」
私と保希を産んでからも、仕事を第一線で頑張っているお母さん。
小さい頃は保育園に預けられ、他の子よりも迎えの時間が遅くて泣いてしまったり、お母さんともっと一緒にいたくて寂しくなったりしたことがよくあった。
それでも、休みの日は私と保希を喜ばせるために、動物園や公園と……いろんなところへ連れて行ってくれた。
習い事で、私がピアノがやりたいと言えば、すぐにピアノを習わせてくれた。
保希がサッカーがやりたいと言えば、すぐにサッカーを習わせてくれた。