今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
お母さんたちが帰ってくるのが遅い分、私は他の子よりは自由に過ごしてきただろう。
……そのおかげで、自分で考えて行動する力が身についたように思う。
お母さんは、子どもの意見を尊重し、とりあえずしたいようにさせてくれる人。
それは、放っておいてるというわけではなく……そばで見守ってくれているのだ。
私たちのことをちゃんと考えてくれていることを知っているからこそ、お母さんがこうして私と瀬那先生のことを認めてくれたのは……心の底からうれしい。
そのあと、お母さんと瀬那先生はすっかり意気投合し、瀬那先生の良さがお母さんに伝わったみたいで安心した。
「お父さんはね、つむぎに彼氏ができて少し寂しくなっちゃっただけだと思うの」
お母さんは、直前にどこかへ出かけてしまったお父さんをフォローした。
「初めての子どもで、しかも女の子。普段は強面なお父さんが、つむぎにだけはずっと笑って別人になってたんだから。それくらい、お父さんにとってつむぎは大きな存在なの」
「……それなら、尚更ちゃんと瀬那先生と会ってほしかった」
「怖くなっちゃったのよ。お父さんの気持ちも少しはわかってあげて?」