今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

30分ほどしても次の地震はなかった。

家具や家の中のものはなにも落ちていない。

とりあえず、大ごとにならずに済んでよかった……。



「つむぎ……っ!大丈夫か……っ⁉︎」



……安心していたところに、お父さんが帰ってきた。

お父さんは、ドアを勢いよく開けてリビングへと入ってきた。


汗だくなのを見ると……恐らく、急いで帰ってきたのだろう。



しかし、お父さんは、私の隣に座る瀬那先生を見るなり……再び家から出て行こうとする。



「お父さん、待ってよ……っ!」



私は玄関直前のところでお父さんの腕をつかみ、なんとか引き止めようとした。



「つむぎたちの安否を確認しにきただけだ」

「なら、私の話だけでも聞いて!」

「聞きたくない」



……私と目すら合わせようとしない。

どうして向き合ってくれないの……?

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