今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

「聞いてくれないなら、もう一生お父さんとは話さないから!」



しかし、私のその言葉であきらかに、お父さんの様子がおかしくなった。



「……話だけだぞ」



お父さんが私に弱いことはわかっている。

娘の特権だ。


仕方なくだとしても……お父さんが、私の話を聞くことにしてくれたのならそれでいい。



私は、お父さんが逃げないように、お父さんの腕をつかんだままその場で話を始めた。



「私がお付き合いしてる人はね、私の通う高校の先生なの」

「……は?先生だと?」

「いいから、最後まで聞いて!」

「……わかった」

「瀬那先生は……先生だけど、私が初めて好きになった人なの。初めて、そばにいたいと思った人なの」

「……」

「見た目はチャラいかもしれないけど、生徒一人一人のことを考えてくれる誠実な人で。私のことを大事にしてくれて、私の気持ちを尊重してくれる」

「……」

「……私に、大好きって気持ちを教えてくれたんだよ」



お父さんは……無言のまま。

とにかく、私の瀬那先生への気持ちを伝えられればそれでいい。

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