今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
「先生だから……叶わない恋だってわかってた。好きになっちゃいけない人だってわかってたの。それでも、瀬那先生じゃなきゃだめだったの……っ」
片思いをしていたあの頃の想いが鮮明によみがえってくる。
切なくて……苦しくて、胸がいつも締めつけられていた。
「たまたま、好きになった人が先生だった。ただそれだけなの……っ。私の……好きな人なんです。だから、お父さんには会ってほしかったの……っ」
泣き出す私に、お父さんは驚く。
昔変わらない……お父さんは、「つむぎ、泣くな……」と、肩をさすってくれる。
背後に気配を感じた。
……瀬那先生が来てくれたんだ。
「はじめまして、守谷瀬那と申します。つむぎさんの通う高校で数学の教師をしています」
「……」
「つむぎさんとは、1ヶ月ほど前からお付き合いをさせてもらっています」
瀬那先生の話を聞かずにどこかへ行ってしまったらどうしようかと思っていたけど、お父さんは瀬那先生の言葉に耳を傾けてくれていた。