今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
キッチンでは麗華さんの言葉を聞かないようにしていたはずなのに、しっかりと頭の中に残っている。
このモヤモヤを、早く瀬那先生に消してほしい……。
「麗華さんがね、自分のことだけは特別扱いしてくれるって言ってて……本当なのかなって」
「特別扱いなんてしたことないよ。むしろ、昔から彼女づらしてくるから、うまくあしらってたつもりなんだけど……。それが裏目にでたな」
「裏目?」
「俺は麗華に告白されたわけじゃないから、振ったことはない。はっきり突き放したわけでもない。今まで適当に相手してた俺にバチが当たったんだ」
こんなときでも私をちゃんと安心させてくれる瀬那先生。
熱が高くて呼吸が苦しそうな……瀬那先生。
辛いときにこんな話をさせてしまって申し訳ない……。
「でも、あいつそんな勝手なこと言ってたんだな。本当にムカついてきた……つむぎが傷つけられるのは許せない」
「ふふっ……」
「なんで笑ってんの」
「いや、不思議だなと思って……。麗華さんといたときは不安で押しつぶされそうだったのに、瀬那先生の一言で不安なんて一気に飛んじゃいました」