今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

私が笑ったあと、瀬那先生も同じように笑った。



「俺は、つむぎしか欲しくないんだよ。それをちゃんと覚えてて」



瀬那先生の熱い手が私のほっぺに触れる。

こんな風に言われたら、忘れたくても忘れられない。


私だって……瀬那先生しかいらないよ。



……私は恥ずかしさを押し殺し、なんとか瀬那先生の身体を拭き始めた。

瀬那先生の筋肉質な身体にドキドキが止まらない。

タオル越しじゃなくて、直接手で触りたいとすら思ってしまう……。



瀬那先生との距離が近くて、息づかいも聞こえてくる。



「俺がなにかしてこないか……ドキドキしないの?」



瀬那先生は、私の顔が近づいたときを狙って、わざと私の耳元で言ってきた。

そりゃあ、なにかされるかも……って少しはドキドキしていたけど、本人にそんなこと言えるわけない。



「……瀬那先生、熱でもうおふざけできないでしょ」

「……なんだ、つむぎの方が一枚うわてか」

「……それに……」

「それに?」

< 288 / 397 >

この作品をシェア

pagetop