今日も、私は瀬那先生を誘惑します。


「大丈夫です……っ、私連れていけますから!」



私が歩いていた速度よりはるかに速く歩く瀬那先生を、私はとにかく追いかけた。



「こういうときは遠慮なく頼れ」

「でも……っ」

「そもそもこの友達具合悪いんだろ?なら早く保健室に連れてった方がいいんじゃねぇの?」

「……確かに、そうです……」



チャラっチャラした先生なんかに頼りたくないって、私の勝手なプライドが邪魔をして思ってた。



けど、瀬那先生の言う通り、今は蛍のことを最優先で考えなくちゃいけなかったんだ。



蛍をおんぶしながらも、スタスタといつも通り歩く瀬那先生。



そんな瀬那先生の背中を見ながら、やっぱり男の人って力があるんだな……と思った。

< 29 / 397 >

この作品をシェア

pagetop