今日も、私は瀬那先生を誘惑します。


「え、でもだるくて拭けないんじゃ……」

「いろいろ抑えなきゃいけないものがあるんだよ。とりあえず、つむぎはリビングで待ってて」

「……わかりました」



いろいろ抑えなきゃいけないものってなんだ?

よく理解できないまま、私にどうしても寝室から出ていってほしいようだったから、私は終わるまでリビングで待っていた。



着替えも終わった瀬那が、寝室から「つむぎー……」と私の名前を呼んだ。



薬を飲んでいないことに気づき、瀬那先生に薬を渡した。

瀬那先生は薬を飲んだあと、「もう先生は寝ます」と言って布団をかぶった。



誰かと話すのって意外と体力を使うことだよね。

返って疲れさせちゃったのではないだろうか……。



「瀬那先生、最後に熱だけ測らせてください」

「ん」



音がした体温計を確認すると、【38.6度】と表示されている。

これは大人の男の人でも、相当辛いよね。

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