今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

「瀬那先生、しっかり寝てくださいね。おかゆ多めに作ったので、よかったら食べてください」

「つむぎ……今日はありがとう。助かった。明るいうちに早く帰りな」



私にできることはなにもないし、もう帰ろう。

帰る支度をし終わり、帰る前に一度だけ瀬那先生の顔を見に行った。



そこには、無防備に寝ている瀬那先生がいた。

初めての寝顔に……愛しさが溢れ出す。


この場から動きたくなくなってしまい、私はそのまま瀬那先生のベッドに頭と腕を乗せて、瀬那先生のことを眺めていた。



気がつくと……私も寝てしまっていた。



「……むぎ、つむぎ」



私は、瀬那に肩を叩かれながら起こされた。



壁にかけられている時計をふと見る。

夜の9時になっている。

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