今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

「呉羽、どうした⁉︎」

「階段から落ちちゃって……」

「立てそうにないか?」



立とうとすると、足首に激痛が走る。



「おまえたちは気にしなくていいから、どんどん進め」



ざわついて動かない生徒たちに、めずらしく低い声を出す瀬那先生。



「とりあえず、俺が連れていく」



そう言って、瀬那先生は私を軽々とお姫様抱っこした。



「落ちないようにつかまれ」



私は、言われたとおりに瀬那先生の首に手を回す。

自然と密着する2人の体。



こんなときなのに……ドキドキしてしまう。

キスだって、それ以上のことだってしたことあるのにどうしてだろう……。


瀬那先生の顔が近くて、恥ずかしさから火を吹きそうだ。

< 312 / 397 >

この作品をシェア

pagetop