今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
「呉羽、どうした⁉︎」
「階段から落ちちゃって……」
「立てそうにないか?」
立とうとすると、足首に激痛が走る。
「おまえたちは気にしなくていいから、どんどん進め」
ざわついて動かない生徒たちに、めずらしく低い声を出す瀬那先生。
「とりあえず、俺が連れていく」
そう言って、瀬那先生は私を軽々とお姫様抱っこした。
「落ちないようにつかまれ」
私は、言われたとおりに瀬那先生の首に手を回す。
自然と密着する2人の体。
こんなときなのに……ドキドキしてしまう。
キスだって、それ以上のことだってしたことあるのにどうしてだろう……。
瀬那先生の顔が近くて、恥ずかしさから火を吹きそうだ。