今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

私はまだ怒っている。

それなのに……愛おしそうに私のことを見つめてくる瀬那先生。


怒る私の頭を……いつものように優しく撫でた。



「つむぎは、怒っててもかわいいな」



なんで、瀬那先生は、私の心をいとも簡単にかき乱せるんだろう。

さっきまでの怒りの感情は一切消え、体温が一気に上がるのがわかる。



瀬那先生の言動にいちいち一喜一憂して、私は本当に幼い子どものようだ。



「私が喜ぶの知ってて、そういうこと言うんですよね?そう言えばいいと思って……ずるい」

「ずるいのは、つむぎだって同じだろ」



私がずるい?



「学校では先生として接しなきゃいけないって思ってるのに、いざ、つむぎを目の前にすると、ブレーキが効かなくなるんだ」

「……」

「つむぎが、俺を1人の先生から1人の男にするんだよ」



ここは学校なのに。

いつ誰が来てもおかしくない場所なのに。

それなのに……今は、瀬那先生のことしか考えられない。

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