今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

必死で走り続け、駅の手前でつむぎを見つけた。

金髪のスーツを着た男に無理やり引っ張られている。


……はらわたが煮えくり返るとはこのことかと、そのとき初めて知った。



俺のつむぎに触るんじゃねぇ。

その腕も、肩も、脚も……唇も、触っていいのは俺だけだ。

これからもそうであってほしいんだ。



殴り合いのケンカなんてしたことないけど、俺はそうなってもいいほどに相手の男を威圧していた。

相手が潔かったおかげでケンカになることはなく、なんとかつむぎを捕獲することができた。



つむぎに先に風呂に入ってもらい、そのあとに俺が入った。

風呂から出ると、つむぎはソファに座って紅茶を飲んでいた。


淹れた紅茶はそんなに量が多くなかったはずなのに、まだ入っているのか?


疑問に思いつつも、俺はつむぎの隣に座った。



「私、この紅茶を飲み終わったら帰りますね」



つむぎはそう言って、また一口紅茶を口に入れる。


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