今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

「……俺は超能力者じゃないから、話してくれないとわからないこともある」

「……なら……」

「ん?」

「瀬那先生の本当の気持ちも全部話してくださいね」



さっきまで子どものように怒った顔をしていたつむぎが、急に大人びた表情をした。

驚いた俺はそれを隠すように……「わかった」と口にした。



ブランケットをギュッと握り、つむぎはゆっくりと口を開いた。



「どこからなにを話せばいいのかわからないから、とりあえず思ってること、今の気持ちを全部話します」

「……うん」

「瀬那先生の第一印象は最悪でした」



予想外の出だしに、思わずツッコミそうになるもののなんとか抑えた。

ていうか、つむぎの俺の第一印象って最悪だったんだと初耳で、単純にショックを受ける俺。



「チャラくて、みんなにニコニコしていて……なんでこんな人が先生なんかやってるんだろうって思ってました」

「……」

「でも、蛍が失恋したときに、瀬那先生は蛍と私の背中まで押してくれて。誠実で生徒のことを真剣に考えてくれる瀬那先生のことを……だんだん意識するようになりました」

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