今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
つむぎは……俺のことをそんな風に思っていたのかと初めて知った。
俺も、つむぎが気になったきっかけは松本が失恋したあのときだった。
友達が苦しんでいるからと、自分のことのように親身になって寄り添うつむぎの姿が愛おしく思えたんだ。
「そして、気がつくと好きになってました」
「……」
「最初は先生と生徒という関係だから、叶うはずのない恋だって思ってた」
「……」
「けど、やっぱり私のことを見てほしくて……瀬那先生に迷惑をかけるとわかっていたけど、告白してしまいました」
追試のテストを返したあとに"先生のこと、誘惑します"と言われたことは、今でも昨日のことのように思い出せる。
俺の中ではそれだけ印象的で、俺の中のつむぎという存在が大きくなった瞬間でもあった。
「瀬那先生も私と同じ気持ちだと知ったときは本当に信じられなくて……。だけど、人生で1番幸せでした」
「……」
「話したりデートしたり、瀬那先生との時間はすべて大切な思い出です」