今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

私が悩んでいると……蛍が私の肩をツンツンと指で突いてきた。

私が「ん?」と蛍へ視線を移すと、蛍は「い、き、な」と小声で伝えてきた。


どうやら、瀬那先生の声がスマホから漏れていたらしい。



「クラスの子には私が適当に言っとくから。早くせなっちのところ行ってきなっ」



蛍に背中を押された私は、「ありがとう」と蛍に伝え、瀬那先生がいるところへ急いで向かった……。



卒業式ということで2年生と3年生のみ登校し、1年生は休んでいる。

そのため、1年生の教室が並ぶ2階は一気に静まりかえっていた。


懐かしいなぁ……。

そう思いながら、私は1年C組の教室の扉をゆっくりと開けた。


教室内を見渡しても、瀬那先生らしき人はいない。


あれ……?ここだって言ってたよね?

不安に駆られる中……一瞬だけ教卓の向こう側に人影が見えた。


もし瀬那先生じゃなかったとき大変だから、私はその人が誰なのか確かめるように顔を覗いた。

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