今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
「つむぎか、よかった……」
床に座り小さく体育座りしている瀬那先生は、私の顔を見て、迷子だった子どもが母親を見つけたときのようにうれしそうな顔をした。
私は瀬那先生の隣に座ることにした。
「もしかして女の子たちから逃げて、見つからないようにここに隠れてたの?」
「そう。最後につむぎと2人きりになりたかったから」
「……っ」
「あ、ニヤけてる」
「わざわざ言わなくていいよっ」
瀬那先生も私と同じ気持ちだったと知って、ニヤけないわけないでしょう。
私たちは最後に秘密を守るために小声で話した。
「あのね、制服で写真撮ったことないから撮りたいんだけど……いい?」
「そういえばそうだな。全然いいよ」
お互いの肩がつくほど密着した状態で写真を撮る。
今までに何回も2人で写真を撮ってきたのに、なんだかやけに緊張した。
写真を確認すると、瀬那先生はいつもどおりかっこいいのに私は少し笑顔がひきつっていた。
「……他の女の子とも、こうやって写真撮ってたんだよね」
「頼まれたから仕方なくな。先生としての仕事だよ」