今日も、私は瀬那先生を誘惑します。


「もしかして……先生って、トカゲ苦手なの?」

「そんなわけねぇだろ」



否定するものの、瀬那先生は決してこっちを見ようとしない。



「ほら、かわいいよ?触ってみる?」



手のひらにトカゲを乗せたまま、瀬那先生にジワジワと近づく私。



「かわいいのはわかったから、それ以上近づくな」



すると、瀬那先生はあからさまに手のひらをこっちに伸ばしてそれ以上近づかせないようにしてきた。



「やっぱり苦手なんじゃないですか」

「あぁ、苦手で悪いかよ」



バレてしまい、ついに開き直る瀬那先生。



かっこよくて優しくて女の子の扱いが上手くて……完璧そうな瀬那先生にも、弱点があったんだと知ってなんだか嬉しくなった。


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