今日も、私は瀬那先生を誘惑します。


前を向いているから、瀬那先生がどんな表情なのかわからない。



どう返していいかわからず固まる私に、瀬那先生はすぐに声を出して笑い始めた。



「なんていう、チャラい男にはひっかかるなよ?」



瀬那先生に、頭をポンポンされた。



またポンポンされた……。


嬉しい反面、お子様扱いされてる気分になってなんだか悔しい。



「次を左で、青い屋根の家です」



ドキドキした自分がバカらしくなり、冷静に家までの道案内をした。

そして無事に家に着き、私は車を降りた。



先生が触れた頭に、まだ熱を持っているのがわかった。



……恋愛もしたことがない小娘だと思って、散々からかってくれちゃって……。



瀬那先生の一言一言に振り回されてる自分にも、私のことをもてあそんでる瀬那先生にも……イラッとした。
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