今日も、私は瀬那先生を誘惑します。


私がここで焦ると思ったら大間違い。



もう瀬那先生のペースにはのまれないんだから……。



「そうです。先生のために切りました」



まさかの返事に、瀬那先生は一瞬驚いた顔をした。



「先生が……短いのが好きだって言ってたから」

「……」



いつもは平然としてすぐに答えてくるのに、珍しくなにも言わない瀬那先生。



……さすがに瀬那先生でも引いた?

それとも本気にしてない?



瀬那先生は顔色ひとつ変えず、私から目を逸らさない。



「ありがとう。そうやって言ってくれて嬉しいよ」



瀬那先生は、ニコッと笑ってそう言った。



……それは、余裕のある笑みだった。
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