今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
家の中にも入らずにドアの前で自問自答を繰り返していると……ガチャッとドアが勢いよく開いた。
「うわ……っ!」
思いっきりドアが私のお尻に直撃し、前に押し出された。
幸い転ぶことなくなんとか耐えたが、ドアが当たったお尻が地味にジンジンして痛い。
「なんだよ、姉ちゃんいたのかよ」
ドアを開けたのは3歳下の弟の保希(ほまれ)だった。
「いたのかよじゃないよー……」
「悪い悪い。でも、家にも入らず玄関の前でなにやってたの?」
「え……っ?それ、は……いろいろ考えてたのっ!」
「いろいろって?まさか、彼氏でもできた?」
やっと中学生になったばかりの保希に、まさか"彼氏できた?"なんて聞かれるとは1ミリも思ってなかった。