今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

「彼氏はいません」

「今"は"って言ったよな。じゃあ、好きな人ならいるんだ?それで悩んでるのか」



ついこの間まで小学生だったくせに、私の言葉の一字一句を読み取ってる……。



このままだと先生とだってバレちゃう。



「あー、お腹空いた!お母さん、ただいまー!」



私は自然な流れを装い、強行突破で家の中へ入った。



保希はそのまま外へ行ってしまった。



廊下を過ぎてドアを開けると、リビングへたどり着く。



そこにはちょうど仕事から帰ってきたらしいスーツを着たお母さんが、腕時計を外していた。



「つむぎおかえり。お母さんも今帰ってきたところなの。ご飯はどうする?」

「昨日のカレーまだあったよね?私はそれでいいかな」

「じゃあ、お母さんもそうしよー」

< 96 / 397 >

この作品をシェア

pagetop