今日も、私は瀬那先生を誘惑します。

「モテモテならさぁ、逆に自分だけを見てくれるように仕向けたらいいんじゃないの?」

「自分だけを見てくれるように……?」

「そう。自分のことを好きになってもらえるようにすればいいのよ」



人生の先輩でもあるお母さんはそう言う。



って、瀬那先生のことが好きだって決まったわけでもないのに話がどんどん前へと進んでいってる。



「自分の娘に言うのも変だけど、つむぎは客観的に見ても抜群にかわいいんだから、もっと自信持って!」

「……」

「諦めず努力を続けられるところがつむぎの良いところ。始める前から諦めてたら、その人の本当の部分なんて分からないまま終わっちゃうよ?」



お母さんの言葉は、寝る前までずっと頭の中で繰り返されていた。



お母さんの言う通り、私はなにかをするって決めたらとことん突き詰めるタイプで……全力投球で頑張ってしまう。



それが良いときもある反面、周りが見えなくなるときもあるため、最近ではほどほどにしなきゃなぁと思ってたりする。



「でも、つむぎのことが気になっているのは確かだと思うけどねぇ」



お母さんの最後に言ったその言葉が……やけに頭の中に残っていた。



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