気付いたらゴーストでした。
0日目.事の始まりは
ーーたとえば僕がここで死んだとしたら。
これまでの努力は全くの無に帰してしまうだろう。
家族や友人、そして好きな人にさえ、今の想いを伝えられずに僕は僕の体を離れなければいけない。
「男の子が轢かれたぞーッ!!」
ドン、と受けた衝撃の後。
無造作に体が宙空へと放り出され、いともあっさりと冷たい地面に頬を付けた。
誰とも分からない声が脳内でハウリングする。
負傷した体のせいで霞んだ視界が細くなり、次第にまぶたが重くなる。
行かなきゃ、早く。……行かな、きゃ……。
強い意志に反して、意識は闇にのまれ、空気中の分子のように溶けて消えてしまった。
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