気付いたらゴーストでした。
「そっか……。名無しの権兵衛さんなのね……。
ゴンベはちょっと可愛くないから、ゴーストの……。あっ! ゴウくんって呼んでもいい?」
『……いいですけど。安直ですね?』
無表情のままで呟くと、お姉さんーー花純さんは、う、と嫌そうに顔を歪めた。
「なんて言うか。ゴウくんって全然子供らしくないよね?」
『そうですか?』
「そうよ。見た感じはとっても可愛い顔してるのに、妙に冷めてるって言うか。現実的って言うか。
敬語が完璧なのは凄いけど、笑顔がないのは駄目よ。子供ならもっと子供らしく笑わなきゃ」
『……と言われても、もう死んでますけどね』
「それでも今私と会話できてるでしょ?」
『はい、まぁ…』
「淡々と物事を分析するのも、きっと生活環境からくるクセなのね。
敬語の使い方からしてゴウくんは育ちが良さそうだし、言葉の知識も豊富。どこかお金持ちのご子息なのかしら?」
花純さんはブツブツと呟き、そばに置いた鞄の中から一冊のノートを取り出した。
右手に持ったシャープペンシルで、僕の情報を箇条書きに並べていく。