気付いたらゴーストでした。
僕とすれ違い、ーーと言うより、僕をすり抜けてさっきまで僕がいた部屋のコタツテーブルに向かう。
何がどうなっているのか分からず、僕は振り返り、女の人をジッと見つめた。
彼女の放つ雰囲気が柔らかで、自然と吸い寄せられた。
女の人もどういう訳か立ち止まり、僕を見ていた。
ぱっちりとした丸い二重の目が魅力的だ。
沈黙の室内にガヤガヤとしたテレビの雑音がやけに響いた。
「……きっ、きゃあぁぁ〜ッ!?」
突如として、女の人は悲鳴を上げる。
彼女は見てはならないモノを見たかのように、顔を引きつらせ、その場に尻餅をついた。
明らかに僕を警戒し、怖がっている。
「きっ、キミっ! だれ?? どうやって私の部屋に入ったの!?」
どうやって……?
問いに答える術がなく、僕は首を傾げた。
『……あの』
とにかく何でここに居るのかを彼女に聞きたいと思うが、淀みなく声が出た事に不思議を感じてハッとなる。
「いいっ! どうやって入ったか聞くなんて野暮だったわ、とにかく、近付かないで!? 分かった? 近付かないでよ?」
僕は彼女を見たまま、頷いた。