気付いたらゴーストでした。
 僕は黙りこくったまま、足元を見たり、天井を見上げたりしていた。

『あ、そういえばさぁ、天使のお兄さんが言ってたんだけど…』

 え!

 駿くんの発言にまたしてもギョッとなる。

『て、天使のお兄さん??』

 事の意外性に僕は頓狂な声をもらした。

『うん。ぼくが死んだとき、一度おむかえに来たの』

『そ、そうなんだ?』

 天使って……。本当にいるんだな……?

 天国とか天使というのは、人間の妄想が生み出した、ただの作り話だと思っていた。

 そしてその天使が、駿くんを迎えに来た……?

 駿くんがまだ話したそうなので、黙って聞く事にする。

『そのお兄さんが言ってたんだけどさ? 糸をむりやり引きちぎろうとしたり、"相手"とサヨナラしようとしたら、それはちぢんで固くなるんだって』

 駿くんは先程言った、"想いの糸"の話をしてくれた。

『縮んで固くなるって、鎖みたいに引っ張られるってこと?』

『うん、多分』

『それじゃあ、糸の相手と一緒にいようと思っていたら……この糸はどこまでも伸びるの?』

『……うーん? そこまでは分からないよ』

『あ〜……そっか』
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