気付いたらゴーストでした。
『キミは……。どのぐらいの時間、お母さんと繋がっていたの?』

 うーん、と天井を仰ぎ、駿くんは言った。

『多分、一分ぐらいじゃないかな?』

 と。

 そのあと駿くんに『ありがとう』と言って戸口に向かうと、彼は『また天国であおうね!』と笑顔で手を振っていた。

 "想いの糸"や花純さんとの関係については未だに謎ばかりだが、駿くんと話をして大きな収穫はあった。

 彼の言う、天使のお兄さんとやらが迎えに来てくれたら、僕も成仏できるかもしれないのだ。

 更にはその天使が現れる前に、白い糸も切れるかもしれない。

 全ては推測にすぎないけれど、それまでは糸にしたがって花純さんのそばにいようと思った。

 自分が誰であるのか分からなくても、きっと時が満ちたら迎えが来てくれる、そう信じてーーー。

 もと来た廊下を戻り、談話室で待つ彼女に、駿くん本人に会った事を話した。

 僕と同じ幽霊(ゴースト)でありながらも、ちゃんと本人がいたのだと伝えると、花純さんは残念そうに肩を落としていた。
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