気付いたらゴーストでした。
 単純に僕を成仏させられない事に嘆いているのかと思いきや、彼女は彼女なりに僕を心配し、僕が天国へ行けなくなったら可哀想だと思っているらしかった。

 なので、駿くんから聞いた成仏の手順を彼女に説明した。

 天使のお兄さんが迎えに来るらしいと伝えると、花純さんは瞳をキラキラと輝かせた。

「天使って……、やっぱり本当にいるのね?」

 そう言ったきり、どこかあさっての方向を向いてにやにやするので、僕は呆れて嘆息する。

 この人……。またどっかにトリップしてるな?

 まぁ、それが花純さんらしいっちゃ、らしいけど。

 駿くんから聞いた情報のうち、天使や成仏の話はしたけれど、"想いの糸"については口を閉ざした。

 今現在も、ある程度の距離が開くと白い糸は出現するし、単純にきみ悪がられると思ったからだ。

 今花純さんに畏怖され、拒絶されたら、僕の心はきっと奈落の底に沈むだろう。

 僕は彼女に……。

 嫌われたくない。

「それじゃあ、ゴウくん。その天使さんが迎えに来るまでは私といようね?」

『……はい』

 花純さんの笑顔と優しさが心地いい。

 彼女に迷惑をかけたくないと思う一方で、僕は彼女とサヨナラしたくないんだ。

 できることならずっと一緒にいたい。

 こんなの、矛盾してる。
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