気付いたらゴーストでした。
Re.0日目.告白までの日々
「おーい、蓮! って、お前なに見てんの?」
親友の篠原 樹《いつき》との帰り道の事だった。
僕はそれまで樹と昨日のバラエティー番組について話をしていたのだが、ついいつもの花屋が目に入り、黙り込んでしまった。
樹が持論を展開させているにも拘らず、お喋りはそっちのけで、ただ一心に"彼女"を見つめてしまう。
「花屋? 花屋に何かあんの?」
「ぅえっ!?」
不意に樹が僕の肩に手を置き、頓狂な声がもれた。
「べべべ、べつに…っ?」
「くははっ、どもりすぎ、焦りすぎ。目ぇ泳いでるし」
樹は動揺する僕をからかい、呆気なく熱視線の理由を言い当てた。
「蓮が花屋のお姉さんにね〜?」
僕たちは再び帰路を辿った。
話題はさっき見た花屋のお姉さん一択に絞られた。
「つか、どおりで他の誰にもなびかないと思ったよ。で、いつからだ?」
「……っ、えと。三週間ぐらい前、かな。多分……確かあの時は」
「えーっ、マジでかー? なんでなんで? きっかけとか」
「なんでそんな食い気味なんだよ」
いつもサラッと受け流すのが樹スタイルなので、殊に興味を示されて若干気遅れしてしまう。
「きっかけは……まぁ、その。一目惚れ、だと思う」
「はぁ!? えぇっ、蓮が?? しかもあんな遠目に見て一目惚れ?」