気付いたらゴーストでした。
「昨日の夜、目が覚めた時。私、焦ってたの……。部屋の中を見渡して、何かを探してた。アレは夢じゃない、現実にあったこと……。
この数日間、ずっとそばにいた……そう、誰かが居なくなったような気がして……慌てて、外にも出て、ベランダも確認して……」
数日間そばにいた、誰か……?
彼女は「あっ」と声を上げ、急に膝の上で握り締めた鞄に手を突っ込んだ。
彼女が取り出したのはA5のノートだ。
ピンク色の表紙のそれをパラパラと捲り、目的とするページを見て「やっぱり、そうだ!」と確信を得たように言った。
「……幽霊の男の子の、ゴウくんだ…っ! その子が急にいなくなってて。
私に二週間も憑いてたのに、突然消えちゃったから……ちゃんと成仏出来たのかなって、不安になって」
「え……」
ゴーストの男の子の、ゴウくん?
成仏……?
僕は呆然としながら彼女を見つめ、思案していた。
ハタチの専門学生の花純さん。
赤いバラの王子さま。
二週間も憑いていたゴーストのゴウくんーーー。
それはとても、他人事とは思えない事象で。
頑丈に鍵をかけられた金庫をこじ開けるような感覚だった。
花純さんは黙り込んだ僕に気付き、焦って「ごめんなさい」と目を赤くした。
涙の膜が張った瞳から察するに、変な人だと思われた、と自身の発言に後悔しているようだった。慌ててノートも鞄に仕舞い込んでいる。
僕は俯きがちにフッと笑った。
……あの"天使"め。
全部忘れちゃうとか言ってたけど、ガードが緩すぎるよ。
「あの……? 蓮くん?」
この数日間、ずっとそばにいた……そう、誰かが居なくなったような気がして……慌てて、外にも出て、ベランダも確認して……」
数日間そばにいた、誰か……?
彼女は「あっ」と声を上げ、急に膝の上で握り締めた鞄に手を突っ込んだ。
彼女が取り出したのはA5のノートだ。
ピンク色の表紙のそれをパラパラと捲り、目的とするページを見て「やっぱり、そうだ!」と確信を得たように言った。
「……幽霊の男の子の、ゴウくんだ…っ! その子が急にいなくなってて。
私に二週間も憑いてたのに、突然消えちゃったから……ちゃんと成仏出来たのかなって、不安になって」
「え……」
ゴーストの男の子の、ゴウくん?
成仏……?
僕は呆然としながら彼女を見つめ、思案していた。
ハタチの専門学生の花純さん。
赤いバラの王子さま。
二週間も憑いていたゴーストのゴウくんーーー。
それはとても、他人事とは思えない事象で。
頑丈に鍵をかけられた金庫をこじ開けるような感覚だった。
花純さんは黙り込んだ僕に気付き、焦って「ごめんなさい」と目を赤くした。
涙の膜が張った瞳から察するに、変な人だと思われた、と自身の発言に後悔しているようだった。慌ててノートも鞄に仕舞い込んでいる。
僕は俯きがちにフッと笑った。
……あの"天使"め。
全部忘れちゃうとか言ってたけど、ガードが緩すぎるよ。
「あの……? 蓮くん?」