気付いたらゴーストでした。
それからの日々.彼女との仲は良好だ
あれから一ヶ月少しの入院生活を経て、無事に退院も叶った。
勉強に関しては、二ヶ月ほどの遅れが生じたので、二学期までに取り戻すつもりでいる。
夏休みに実施される夏期講習と塾の補講にも申し込みをしたので、幾らでも挽回できる。
入院生活の間、花純さんは時間が許す限り僕に会いに来てくれた。
僕は彼女と色々な話をした。
食べ物は何が好きか、好んで聴く音楽は何か、初めて観た映画は何か、アウトドア派かインドア派か、など。
主に花純さんが僕に質問してそれに答え、逆に彼女の答えも教えてもらう。
花屋で毎週買っていたバラはどうしていたのかも聞かれたので、毎回母親に渡していたと言うと、花純さんは「どおりで」と意味深に笑った。
僕が目を覚ましたあの日、母さんと親しげに話す彼女を思い出し、僕はきっとそのあたりの会話をしたからだろうと見当づけた。
幽霊として彼女のそばにいた二週間があったせいか、僕と花純さんは意外と早くに打ち解け、今ではお互いに敬語も使わない。
お互いがお互いを美化して恋に落ちたわけだが、幻滅の余地もなく、その一部分も含めてその人なんだと僕たちは理解している。